マイクロス ケール化学実験とは?

        荻野 和子

1) マイクロスケール実験のメリット
2)  マイクロスケール実験を行うにあたって
3) マイクロスケール実験の実際
4) マイクロスケールケミストリーの今後の方向
5) 海外のマイクロスケールケミストリーの現状

1) マイクロスケール実験のメリット
 実験のスケールを小さくすると、

1) 試薬の節減
2) 実験廃棄物の少量化
3)省資源,省エネルギー

につながるのは当然で、環境にやさしい実験といえます。廃棄物を出してから処理するのではなく、そも そも出さないようにするというのはグリーンケミストリーにおいて重要な原則であり、マイクロスケール実験は学園におけるグリーンケミストリーともいえま す。

マイクロスケール実験には、以上のほか、一般に次のようなさまざまな長所があります。

4)安全性の確保:危険が少なく,事故が防止できる
5)実験環境の改善
6)実験時間の短縮
7)経費の節減
8) 以上のことを通して環境問題についての生徒の関心を深めることができる
10) 1グループの人数が少ないので一人ひとりが積極的に実験に参加する
11) 少量しか使わないので,高価あるいは希少な試料を実験に使うことが可能
12) 小さいガラス器具は破損しにくい

2)  マイクロスケール実験を行うにあたって

 マイクロスケール実験において重要なことは、通常スケールの実験と同等あるいは、それ以上の教育効 果をあげることです。そのためにはいろいろ工夫する余地があります。

 私たちはこれまでいろいろなマイクロスケール化学実験を開発、実施してきました。また、マイクロス ケール実験を開発、実施する研究者が増えて来ました。それらの研究の多くは日本化学会から発行されている化学と教育のマイクロスケール実験の広場に掲載さ れています。

3) マイクロスケール実験の実際

   マイクロスケール実験の実際例 リスト

4) マイクロスケールケミストリーの今後の方向: 普及のために

1)さらに多くの教材の開発
2)マイクロスケール実験器具を入手しやすくする。
3)教材・器具のパッケージ化
4)器具の開発: 諸外国のように手ごろな価格のキット、教育用の安価な器械の開発
  器具等の商品化は普及によって可能になる。
5)経験情報の交流 
参考文献: 荻野和子「マイクロスケール実験の広場へのお誘い」化学と教育, 49, 110(2001).