科学研究費/研究成果報告会
研究成果報告会 2007年2月16, 17日 於:科学未来館 |
【研究成果報告】(報告書から)
1.新しい実験教材の開発と探究型実験への利用
いくつかの新しいマイクロスケール化学実験教材を開発した。これらは,いずれも生徒・学生の興味を強くひきつけるものであった。これらの実験は,廃棄物削減,省エネルギー等通常のマイクロスケール実験の長所を備えており,環境問題への生徒の関心を惹起する。また,さまざまな発展が可能である。単にマニュアル通りに実験するのではなく,学生・生徒が自主的に課題を見つけ,あるいは与えられた課題を探究するタイプの実験を行うことができる。
1)マイクロスケールのホフマン電解装置(荻野)
水の電気分解は中学理科及び高校化学における基本的な事項であるにもかかわらず,生徒実験はあまり行われていない。本研究では,生徒実験が可能な安価で小型,取り扱いが容易な小型ホフマン装置を開発した。この装置を探究型実験に用いたところ、生徒の積極的な取り組みがみられた。
2)ムラサキキャベツを用いたpH調べと電気分解実験へのムラサキキャベツの利用(荻野)
ムラサキキャベツ色素を用いるpHの実験をマイクロスケール化し,探究型実験に応用した。また電気分解にともなう陽極と陰極におけるpHを調べる実験に発展させる教材を開発した。
3)金属陽イオン分析と未知試料分析(芝原)
1回の実験で約50種の沈殿反応を行い,それを利用した未知試料の分析の教材を開発した。また,このような実験の後にマニュアルのない試料の分析を探究的に行う生徒実験も成功した。
4)大学有機化学実験(化学科学生対象)のマイクロスケール化(吉野)
「安息香酸メチルのニトロ化反応」,「ベンゾフェノンの太陽光照射による二量化反応」の実験をこれまでの10分の1のスケールにすることに成功した。
5) その他の教材:これまでに開発した鉛蓄電池,ダニエル電池,電気分解,燃料電池,イオン化傾向等の電気化学の教材の改良,組み合わせによる種々の教材を開発した。
2.実験器具,機器の開発
1)簡易吸光光度計の製作と利用(猿渡)
通常使われるCdSセルに換えてフォトダイオードを受光素子に使用した簡易吸光光度計を製作した。一台分の材料費が本体1000円程度なので,多数を揃えて一斉に実験をすることができる。既に学生実験,高校生の発展的学習で用いた。
2)小電力小型加熱攪拌装置の開発(甲,小俣)
マイクロスケール学生実験に適した加熱攪拌装置は現在市販されていない。学生ひとりひとりが使える標記の装置を開発した。
3)マイクロスケール気体実験器具の開発(荻野)
いろいろな気体の実験のための器具(8-ウェルプレート並びにキャップ2種)を製作した。この装置は手軽であるばかりではなく,観察しやすく,電気化学実験等いろいろな実験にも使用できる。
4)教育用ガスクロマトグラフの製作(斉藤)
キャリアーガスとして圧縮空気を,検出には熱伝導度方式を使用するなど安価で小型なガスクロマトグラフを開発した。
【教材展示例】
展示ポスター
- ▲ 爆鳴気の実験装置 ▲ 水の電気分解装置
- ▲ 鉛蓄電池
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